1番泣いた日~子宮頸管妊娠入院③~
入院当日から退院するまでにちゃんと泣いたのは2回だけ。
病棟に上がる直前、お昼の時間が過ぎているのでお昼ご飯を買って病棟に上がるように言われたが、私と夫はレストランで食べて、ちょっと心を落ち着かせたいと思っていた。
ごはんを食べながら、涙が止まらなかった。
なんで私だけこんなことになるんだろう。
なんでみんなは次々妊娠し子どもを産んでいるのに。
高い治療費払って不妊治療をして、結果自分の命危険にさらすって何なんだろう。
ごはんを食べ終わって、先生に渡された同意書に全部目を通していく。
怖いことがいっぱい書いてある。
またどんどん不安になって、病院の中庭に出てわんわん泣いた。
どのくらい時間が経ったか、もう泣き疲れて病棟に上がることにした。
サインする以外に選択肢はない、と覚悟を決めるしかなかった。
気づいたら携帯に着信がいっぱい入っていた。
どうやらすぐに病棟に行かなければいけなかったみたいで、なかなか来ないし、電話もつながらないしで、受け入れ側の看護師さんたちが心配してくれていたようだった。
緊急入院だったため、その日は産科病棟への入院になった。
事情を考慮してくれ、大部屋を希望していたにも関わらず、個室を用意してくれていた。
そこから4日間、私はその個室からほとんど出ずずっと引きこもっていた。
ただひたすらにぼーっとしたり動画を見たり、なるだけ何も考えず、頸管妊娠について調べることもなく、誰とも話さず、あんまり深く考えないように過ごした。
たまに現実を思い出して悲しくなったり、遠くで聞こえる赤ちゃんの声に心が痛んだりしながら。
先生からの説明〜子宮頸管妊娠入院②〜
内診が終わりまたもしばらく待ち。
ようやく呼ばれたところで、先生から改めて診断結果を聞かされる。
腹痛だったし、あんまり冷静でなかったので記憶が曖昧だけど、
・頸管妊娠とは思うが、頸部にある妊娠組織の周りの血流がそこまで豊富じゃない
・数日HCGの様子を見て治療方針を決めたい
(血流が豊富じゃないからもしかしたら流産して自然に出てくるかもしれない?)
・治療についてはまず1番簡単なのは子宮を取っちゃうこと
・でもそれは望んでいないだろうから、手術を考える
・手術には子宮動脈塞栓術を伴うが、後の妊娠を望むならこれもあんまりやりたくない
・他の選択肢は流産を促す抗がん剤を投与し、これ以上成長して血管を圧迫し出血することを避ける
だぁーっとこのようなことを言われたと思います。
いずれにしてもいつ出血してもおかしくなく、出血したら命が危ないこともある、命のために子宮全摘もありうる、などと説明され、このまま入院となりました。
すぐ手術の予定を決めると思っていたのに、大学病院では手術はできるだけしない方向の様子。
様々な同意書を渡され、大出血の時のことや子宮全摘の合併症などが書いてあるものに目を通してサインして、病棟に上がる様に言われました。
大学病院へ〜子宮頸管妊娠入院①〜
出血が爆発的に増えることはなく、朝大学病院の外来へと向かいました。
家からは電車で1時間弱。
出かける直前になって下腹部痛がしてきました。
普段生理痛がひどすぎて、吐き気をもよおすことがありますが、この日もそれが来そうで電車の中で冷や汗が出てきました。
なんとか最寄り駅につき、トイレへ駆け込む。
まあまあの出血量。
でもあとはタクシーで病院に向かうだけ。
なんとか我慢して病院へ。
大学病院は朝からすごい数の人がいました。
紹介状がないと来れないはずなのに、こんだけ沢山の人がどこかを患い、それも街の病院では対処できない重い人々と思うとなんだか大変だなあと他人事のように思っていました。
受付だけでも30分近く待ち、そのあと血液検査をしまた待ち・・・。
ようやく診察室前室に呼ばれ、またそこでも待ち。
そのときにはもうお腹が痛すぎて、ナースコールのボタンを押すかどうしようか、おさまって痛み!と祈るように待ちました。
ようやく呼ばれて簡単に状況を伝え、またエコーで内診される。
カーテンの向こうにはどうやらまた数人の医師で診て、長いことごにょごにょ相談している。
その長さにやっぱり大変なことになっていることを実感せずにはいられませんでした。
股を広げて血を垂れ流しながら・・・。
入院前夜~子宮頸管妊娠診断日③~
夕方ようやく自宅に戻る。
さすがに手術と入院となれば、家族や周りの人にある程度報告が必要だと思い、まず家に帰ってやりかけの仕事を片付けた。
直近でよくやりとりをしている人たちや上司に電話をし、詳しいことは伏せながら、手術と入院することとしばらくお休みすることを伝えた。
上司にだけは「婦人科系の病気で」ということを付け加えた。
一通り落ち着いた時点で母に連絡した。
不妊治療をしていたことも妊娠したことも言ってなかったので、一部始終を話しながら、母の前ではやっぱり子どものようにぼろぼろ泣いてしまう。
この妊娠はダメなんだと分かってから、初めてちゃんと泣いた。
その後くだらない話もして、最後は笑って電話を切った。
本当はもうしばらくしたら「孫が出来たんだ」と喜ばせる連絡をしたかったのに、逆に心配させることになってしまって、情けないような不甲斐ないようなそんな気持ちだった。
でもずっと言えなかった不妊治療のことをようやく言えてほっとしている自分もいました。
その日は「子宮頸管妊娠」と診断されましたが、それをネットで検索した記憶がありません。
普通なら検索してしばらく眠れなくなりそうですが、その日はばたばたしてその余裕がなかったのか、はっきりおぼえていません。
ただ次の日からは私はあえてしばらくネットで検索することを控えていました。
それは翌日の医師の説明でかなり不安なことをたくさん言われたからでした。
大きな病院へ~子宮頸管妊娠診断日②~
徒歩で20分ほどのところにある大きな病院へ移動し、診察の為に待っていると間もなく旦那さんも合流できました。
とにかく不安な気持ちだったので、旦那さんが駆けつけてくれたことはとても心強かったです。
私は結構な出血と腹痛を抱えながら、仕事の事が気になり、まずは上司に通院しているクリニックから大きな病院に行くように言われたので、いつ出勤できるか分からない旨を伝えました。
そして取引先の問い合わせ電話等を受けながら、メールしたり、不安ながらも仕事を片付ける余裕がありました。
そうこうしているうちに看護師さんがあらわれて、今日検査や手術になる可能性があるから、水以外は飲まないように指示されました。
また血液検査、尿検査をし、呼ばれるのを待ちました。
ようやく診察室に呼ばれ、血液検査の結果を知らされる。HCG13419。
その後すぐに内診室へ。
カーテン越しに数人の医師で超音波を確認している様子でした。
そこで女医の先生から数人の先生と確認したが、子宮頸管という部位に何か影があるがはっきりと分からないので、CT検査をするということを説明されました。
造影剤というものを使ったCT検査は初めてでした。
稀に重篤な副作用が発生するという説明を受け怖くなるが、それでもこの検査をやる意味の方が大きいという説明で同意書にサインをする。
造影剤は血液に入れた瞬間体がかぁーっと熱くなり、緊張と不安で一瞬息が苦しくなったが、びくびくしている間にすぐに終わった。
結果が出るのを待っている間に、周りにはもうほとんど人がいなくなっていた。
ようやく呼ばれたところで異所性妊娠、なかでも子宮頸管妊娠というものだと確定診断を受ける。
・この妊娠は継続できないこと
・妊娠組織を手術で取らなければいけないが、頸管には子宮と違って出血をしたときに収縮して出血を止めるような機能はないこと
・出血を止める機能がないので、人工的に血液の循環を一時的に止める子宮動脈塞栓術という方法を用いて手術をするがそれには設備が整っている病院でやった方がいいこと
等々の説明を受け、また別の大学病院へ行ってほしいと言われる。
手術を伴うので、恐らく1-2週間の入院が必要になるだろう、ということだった。
翌日の朝に大学病院に行くことになり、もしその日に生理2日目以上の出血があったら、すぐに大学病院へ連絡するように言われ、その日は自宅へ帰ることになった。
クリニック再受診~子宮頸管妊娠診断日①~
流産かどうかを判断するクリック再受診の日、予約は朝イチでした。
その日は出勤時間をずらして勤務する予定でしたが、少し遅れていた業務も気になり、早起きしてクリニック最寄り駅のカフェへ行き、予約時間まで一仕事してからクリニックへ向かいました。
その日、流産が確定し、次の治療の相談もできると思い、そこまで悲観的な感情ではなかったと思います。
実際その日のLINEを見返すと、旦那さんに
「体質改善全然頑張ってなかったから、心入替えて頑張る」
と送っていました。
あと、流産が確定したら早く皮膚科の薬を再開したいという思いが強かったです。
血液検査をして1時間後の診察。
その日は院長先生が担当でした。
HCGの値は10000を超えていて具体的な数値は出ませんでした。
すぐに内診室へ。また念入りに超音波でお腹を見てもらいます。
とても長かったです。
その後の対面での診察結果は実はよく覚えていません。
旦那さん宛のLINEを見返すと
・HCGは上がっているのに胎嚢が見られない
・どこか見えないところに着床している可能性が高い
・受け入れ先の大きな病院を探すからすぐ行ってほしい
・子宮外妊娠は確定診断が難しい
ということでした。
待っている間とても不安でした。
何がなんだか分からない、私のお腹の中で何が起こっているのか、どうしよう。
私はとっさに今回初めてチャレンジした子宮内膜再生法が良くなかったのか、とか何かのせいにしたくなりました。
その後、歩いて行ける距離の大きな病院でこの後すぐに見てもらえることになり、そこまで歩いて向かいました。
旦那さんは仕事が休みだったので電話をして、すぐに来てくれることになりました。
クリニック受診~子宮頸管妊娠発覚前④~
月曜日の朝、クリニックへ電話し、昨晩1時間の間だけ出血と腹痛があったことを伝えました。
出血の量を聞いた看護師さんからできれば今日受診してくださいと言われ、その日の昼に受診することにしました。
血液検査をしてから1時間後の診察。
初めてみる女医の先生でした。
診察室に入って簡単な問診と血液検査の結果を伝えられる。
HCGの値は5497、順調に上がっている。
早速内診室へ。超音波で長いことお腹の中をぐるぐる見ている先生。
長めに見た後、いつもの院長先生を呼んで、今度は二人で念入りに見てくれる。
カーテン越しにこれが怪しい、みたいな会話が聞こえてくる。
あー、なんかこれはダメなんだろうな・・・と悟りました。
そして再度診察室で対面し、「出血と一緒に塊みたいなものは出ませんでしたか?」と聞かれた。
「自覚はないですが、出血が結構びしゃっと出たのでそれと一緒に出ていたら分かりません。」
そして先生から、「流産か子宮外妊娠です。子宮外妊娠だと大きな病院に行って手術になりますが、恐らく流産です。HCGは下がるまで少しタイムラグがあるので、次の診察で下がっていれば流産だと思います。」と告げられました。
子宮外妊娠だと卵管に着床していることが多いが、今のところそれは見られないとのこと。
なので流産だろうということでした。
2日後の朝イチに次の予約を取り帰宅。
その後の感情はよく覚えてません。
クリニックを出た後、最寄り駅への道すがら少し泣いたと思います。
泣きながら旦那さんにメールをしたような。
なんで私だけ子どもがすんなりできないんだろう、と。
とにかくこの日、この妊娠は普通には継続しないことを告げられました。
何故か私は子宮外妊娠ということを微塵も考えておらず、もう流産なんだ、と割り切り、旦那さんに買ってきてもらった夕食を食べながら、意外にも次の移植のことを考えていました。
次こそ前向きに頑張りたい、こんな最悪な想定ばかりするのではなく、大丈夫という自信を持って挑みたいたい、という気持ちになっていました。